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チベット民主主義49周年記念日 カシャック(内閣)による声明

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(2009年9月2日)

本日、チベットの政治形態を真の民主主義に導くための、ダライ・ラマ法王による素晴らしい努力を記念する49周年を迎えました。このお祝い事に際しまして、ダライ・ラマ法王が私たちチベット人にお与えくださった、民主主義という贈り物に対する感謝の気持ちを表し、ダライ・ラマ法王に深くお辞儀をいたします。また、チベット内外のチベット人、政府、議会、チベットやチベット民族を支持してくださるチベット支援団体の皆様、そして平和を愛する世界中の皆様に、心よりご挨拶申し上げます。

この49年間に、チベットや中国を含む世界中が、政治的、経済的、社会的に大きな変化を遂げました。それに伴い、チベット民主主義も世界的な変化と歩調を合わせ、前進してまいりました。チベット民主主義の最高機関であるチベット亡命政権議会(Tibetan Parliament-in-Exile: TPIE)ではこれまでに14回の選出が行われ、内閣主席大臣や主席大臣の選出には2回の直接選挙が行われております。それゆえ、亡命チベット人憲章に記載されている条件に基づき、今日では、制度としても組織としても優れた民主主義の実現に至っています。さらに、定期的な選挙など民主主義の過程がチベットの草の根レベルにまで浸透しているという事実は、世界中の人々の切望の対象にもなりました。殊に、1996年に行われた世論調査、そして昨年、亡命チベット人憲章第59条の下に招集された特別総会におきましては、チベットの一般大衆が、チベット民族全体の短期的、そして長期的な志がどのようなものであるかを決定するために、噂に左右されることなく個々の自由を行使することができ、チベット人における民主主義の文化が成熟しつつあることの明らかな兆しとなったのです。このことは、ダライ・ラマ法王の願いを叶える大きな助けとなったばかりでなく、指導する立場にある我々を大変勇気づけてくれました。ですからカシャックは、全てのチベット人に対し、心から感謝の気持ちを表したいと思います。

チベット人のための教育や知的な自由。さまざまな見解、立場および信念体系を意識、理解し寛容であること。偏狭さを避け、正しいこととそうでないことを見分ける賢明さなど、これらは全て、我々が真の民主主義に到達するために必須の条件です。これらをさらに向上させることに加え、より一層大切なことは、仏教の説く「四依」を賢く取り入れ、個人よりも制度を、権利よりも責務を選べるようになるということです。

チベットや中国をはじめ、世界中で政治的、経済的、社会的な変化が起きている現在、未来を予測することは大変困難となっています。ですから、間違いを犯し機会を失うことのないよう、チベット内外のチベット人は皆、慎重に行動しなければなりません。

チベット内のチベット人が昨年、自らの命と財産を懸けて平和的な抗議行動を行った結果、大勢のチベット人がひどい拷問を受け、財産を失うこととなりました。彼らの払った犠牲が無駄に終わることはなく、チベットの大義の認識に大きく貢献したことは、疑う余地がありません。カシャックは全てのチベット人に対し、民衆の命を危険にさらすことや、中国人とチベット人の間の相違や敵対意識を生みだすことのないよう、最大限の注意を払うことを要請したいと思います。

世界中の亡命チベット人は、ダライ・ラマ法王のお導きの下、中国人に対する理解を深めるべく努力を続けているだけでなく、国を問わず自然災害に遭った人々に対して哀悼の意を表し、支援をしています。これは、仏陀の教えに従ったものであると同時に、チベット人の本質そのものの現れでもあります。昨年、中国の四川省が地震に襲われた際には、祈りを捧げ、救済活動に貢献するなど、亡命チベット人は可能な限り手を差し伸べました。さらに、ダライ・ラマ法王は被災地を慰問し、祈りを捧げたいという強い願いを表明しましたが、政治状況により訪問は叶いませんでした。最近では台湾が台風に襲われましたが、ダライ・ラマ法王は即座に弔意{ちょうい}の言葉を贈り、犠牲者やその家族のために祈りを捧げられました。また、台湾の人々からの要請に応じ、ダライ・ラマ法王は現在台湾で被災地を慰問し、住民の方々に精神的な慰めをもたらしています。台湾でのダライ・ラマ法王による宗教儀式は、生きとし生けるものの幸福を願うばかりでなく、中国とチベットの人々の関係が改善されることを目指したものでもあります。

伝統的な教育と近代的な教育の両方を身につけた、亡命チベット人の若い第3世代が、政治的責任を引き継ぐことができる時期がやってまいりました。カシャックは、彼らが今後これまでにないほど、我々の社会における政治や行政の責任を負うことになるだろうと確信しております。

最後となりますが、カシャックはダライ・ラマ法王のご長命をお祈りするとともに、ダライ・ラマ法王の全ての願いが自発的に叶えられますようお祈り申し上げます。チベット内外のチベット人が再び一体となり、民主的な自由を享受することができますように!

カシャック

2009年9月2日


(翻訳:櫻木晴子)